水のコラム
水道元栓から水漏れしたときの対処法と水道元栓・止水栓の違い
キッチンやトイレの水漏れは、水周りに多くみられるトラブルの一つです。設備の老朽化や元栓などの部品のゆるみが主な原因ですが、実際に水漏れに直面するとパニックになりやすく、何が起こっているのか正しく判断がつきにくいものです。
この記事では、水道元栓から水漏れを起こすケースについて、元栓と止水栓の違いやそれぞれの水漏れについて紹介します。すぐにできる応急処置や止水栓の締め方も紹介していますので、トラブル対応にぜひ役立ててください。
目次
水道元栓から水漏れすることがある
「水漏れ」は、建物や部屋の中で起きるケースと外の元栓で起きるケースに分けられます。
室内での水漏れ場所にはキッチンやトイレ、浴室が多くみられ、室外ではメーターボックスや量水器の中の水漏れが考えられます。室外の水漏れは生活のなかで気づきにくく、被害が大きくなりやすい特徴があります。
また、室外の水漏れは室内のように自力での対応が難しいため、専門の業者による点検や修理が必要です。元栓が緩んでいれば締め直すだけで直りますが、元栓そのものが壊れている場合は交換が必要になります。
元栓は老朽化するほど水漏れのリスクが高くなるため、過去に大きな地震が起きた地域や、一定の年数を経た古い物件に住む際には、メンテナンスや修理が行われているかを確認してください。
元栓が壊れてしまったときに修理を依頼する業者や管理会社の連絡先も控えておき、万が一に備える必要があります。
元栓と止水栓の違い
止水栓は、水まわりのすべてに設置されている栓のことです。蛇口をひねったときに水が出るのは、止水栓が開いているためです。そして、それぞれの止水栓をまとめるものが元栓であり、元栓を閉じると建物内の水がすべて止まります。
名称 | 止水栓 | 元栓 |
栓のある場所 | ・キッチン(シンク下) ・洗面所(洗面器の下) ・浴室(水栓部分) ・トイレ(便器やタンク横) ・手洗い場(洗面器の下) | ・戸建住宅:敷地の中(庭など)の地面に埋入されている ・集合住宅:玄関付近のボックス内または管理会社による一括管理 |
栓の役割 | それぞれの箇所の水を止める | すべての水の流れを止める |
注意点 | 止水栓はその場所の水栓を閉めるためのもので、建物内すべての水は止められない | 屋外に設置されているものが多く、凍結・破損・老朽化に注意 |
止水栓は設置場所の水の流れを止めるもので、それぞれの止水栓をまとめている元栓は建物内すべての水を止められます。元栓の多くは建物や玄関の外に設置されており、止水栓とは設置場所が異なるため、事前に場所をチェックしておくと安心です。
点検・修理の注意点として、止水栓は水道業者に相談できますが、元栓については地域を管轄する水道局に連絡しなければなりません。元栓が壊れたり水漏れを起こしたりしているときは、水道局へ連絡してください。
元栓・止水栓から水漏れする原因
水漏れは、部品の老朽化や緩みといったさまざまな原因が考えられます。すぐに対処できるケースもあれば、プロの業者や水道局に相談しなければならないトラブルもあり、原因を正しく見極める必要があります。
ここからは、元栓・止水栓が水漏れを起こす原因についてみていきましょう。
内部パーツの破損
元栓や止水栓は、いずれも水道部品です。複数の素材からできているため、パーツが破損するとひび割れや欠けた部分から水漏れが起きてきます。
水はわずかなすき間からでも漏れ出すため、目に見えにくいささいな穴や割れた部分があっても、そこから少しずつ漏れ出てしまいます。はじめのうちは目に見えない軽微な被害だったものが、知らないうちに大きな被害になってしまうのです。
パッキンのような内部パーツの破損は目視しづらい場合が多いため、発見が遅れやすい特徴があります。少しでもおかしいと感じたときは、水道局や水道トラブルを扱う業者に点検を依頼してください。
地中にある部分の腐食
一般家庭では、元栓の多くは地中に埋入されているボックス内に設置されています。また、元栓に繋がる配管は地中に埋め込まれており、それらの一部が腐食してくるとひび割れ箇所から水漏れが起こります。
地中に埋入する設備には腐食のしにくい頑丈な素材が使われていますが、経年劣化やその他の原因で腐食が進むと破損し、そこから水漏れが始まって、地中に水が染み出してきます。
腐食した場所や状況が目視できればすぐ対応できますが、目視のできない箇所からの水漏れは対応が送れる可能性があります。経年劣化を起こしていないか、水道料金が突然高額になっていないかをこまめに確認し、おかしいと感じたときはすぐに水道局や水道業者に連絡を行いましょう。
元栓・止水栓からの水漏れが発生した際の応急処置
実際に元栓・止水栓から水漏れが発生したときは、どのような手順で対応すべきなのでしょうか。ここからは、それぞれの栓の応急処置について紹介します。
元栓の場合
ナットの緩み程度であればすぐに締め直しができます。工具があればプロに依頼する前に応急処置対応がとれますが、自分で直せたから大丈夫とは思わず、必ず応急処置の後は水道局へ連絡してください。
緩みではなく明らかな破損や、破損が疑われるようなケースについては、すぐに水道局へ連絡しましょう。同時に、集合住宅やビルにお住まいの方は、管理会社やオーナー(所有者)にも連絡し、元栓に不具合がある旨を伝えてください。
水道局の担当者が到着するまではそれ以上元栓には触らず、必ず担当者からの指示を仰いで対応を行いましょう。
止水栓の場合
止水栓から水漏れを起こしている場合は、その止水栓だけに対処する前に元栓をまず閉めておきます。これで全体の水の流れが止まり、トラブルを起こしている止水栓に対処しやすくなります。
次に、水が漏れている箇所を確認し、水道業者へ連絡しましょう。水道業者は止水栓のトラブルであればすぐに対応してくれます。
元栓は水道局が担当していますが、室内の止水栓は水道業者ですべてカバーできるため、室内にある複数箇所の止水栓のチェックを行ったうえで、水漏れ箇所の点検・修理・交換を行ってくれます。
次に、水漏れによって濡れた箇所を拭き取り、きれいに乾燥させてください。配水管からの水漏れは汚水ではないので、臭い対策をする必要はありません。
一方で、水漏れの程度がひどければ下階への水漏れや壁、床への染み出しが考えられるため、木造の建物や住宅では腐食を防ぐためにしっかりと乾燥させてください。
こちらの記事では水道を使っていないのに音がする場合の原因と対処法について解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
水道を使っていないのに音がするのは水漏れ?原因と対処法について
水道の元栓を勝手に閉めてもよいのか
水道の元栓は基本的に、トラブル発生時にのみ閉める必要があります。トラブルが発生していないときは、勝手に閉めないように注意が必要です。ここからは、元栓を閉められる場合と閉められない場合を比較して紹介します。
よいケース
水道や配管、その他の部品から水漏れが発生しているケースでは、元栓を閉めて対処する必要があります。戸建住宅では、水道局や水道業者を呼ぶ前の応急処置として元栓を閉めて様子を見ることができます。
集合住宅やビルのような建物では、元栓を勝手に閉めてしまうと水漏れをしていない部屋や設備の水も止まってしまうため、事前に管理者やオーナーに連絡し、許可をとったうえで対応する必要があります。
水漏れは水道代にも影響し、放置できないトラブルです。止水栓の修理で対処できなければ、元栓も閉めて水が流れない状態にしなければなりません。ただし、元栓の修理対応は水道業者ではなく水道局の担当になります。
ダメなケース
元栓を閉めると、そこに繋がっている水道がすべて使えなくなってしまいます。集合住宅やオフィスビルでは他の部屋や室内にも影響が出てしまうため、やむを得ない事情がある場合以外では勝手に閉めないようにしましょう。
元栓を閉めると、すべての水道設備が使用できなくなります。たとえば、キッチンでの水漏れに対応するために元栓を閉めたときは、トイレや浴室も一緒に使えなくなってしまうため、必ず水漏れへの対応を行うときだけ元栓を閉めるようにしてください。
元栓のある場所と閉め方
次に、元栓がある場所とそれぞれの閉め方についてみていきましょう。集合住宅と一戸建てで違いがあるため、事前に元栓の位置とタイプを確認しておくと安心です。
集合住宅の場合
アパート・マンションのような集合住宅は、古い物件では1ヶ所または階数ごとに元栓が設置されているケースがありますが、新しい物件はほとんどが玄関わきのメーターボックスなどに設置されています。
オフィスのようなビルについては、ビルの構造にあわせて元栓が設置されており、管理者が場所や状況を把握しているケースが多くみられます。
形状としてはハンドルタイプのものが多く、時計回りに回すと止水できます。反時計回りに回すと水が出てきてしまうので、必ず時計回りに回して水を止めてください。
一戸建ての場合
戸建住宅では、水道の元栓やメーターは庭先や玄関わきの地中に埋め込まれたボックス内に設置されているケースが一般的です。
水栓の位置は厳密に玄関先の特定の位置に決められているわけではありませんが、一戸建ては集合住宅と違い土地に余裕があるため、庭先や玄関まわりが選ばれています。
閉め方は集合住宅の元栓と同じ要領で行います。地中に埋入されたボックスのフタを開け、その中にあるハンドルを時計回りに回して止水します。
止水栓のある場所と閉め方
元栓はすべての水の流れを止める最終手段ですが、ここからはキッチンやトイレといった設備に取り付けられている止水栓の場所と閉め方についてみていきましょう。
トイレ
トイレの止水栓は、壁や床に取り付けられているものと、タンクに直接繋がったものとに分かれています。
タンク裏の壁ぎわやタンク下の床を見ると、止水栓にあたる部品が見つかります。トイレのみ給水を止めたい場合は、この止水栓を回して閉じた状態にします。
タンクに直接繋がっている止水栓は、タンクの横から伸びる給水管の途中または根元部分に取り付けられています。壁や床に止水栓が見当たらなければ、タンクに直接繋がったタイプと考えられます。
ウォシュレット
トイレ内の止水栓はわかりやすいように、壁・床・タンクの給水管に取り付けられています。ウォシュレット式のトイレは、ウォシュレット用の止水栓とトイレの止水栓の2種類が取り付けられているため注意が必要です。
ウォシュレット用の止水栓は、トイレ用の止水栓から分岐金具を使って分岐されています。金具を取り外す必要はなく、壁や床に近いトイレ用の止水栓を閉めるだけですべての水流がストップします。
キッチン
キッチンの止水栓は、基本的にシンクの下か裏側にあります。キッチンの形状にもよりますが、壁や床から伸びている配水管の途中に止水栓の蛇口・ハンドルが取り付けられています。
シンクの中に収納があり、その中に隠れている場合もあります。ほとんどの場合見つけやすい場所に取り付けられていますので、キッチンまわりをチェックして止水栓の位置を確認しておきましょう。
ただし、単水栓やツーハンドル混合水栓タイプのキッチンでは止水栓が存在しない場合があります。そのような場合は元栓を閉めて点検・修理を行う必要があります。
お風呂場
お風呂場の水栓は、水道設備に繋がっているケースが多くみられます。壁付蛇口(かべつけじゃぐち)と呼ばれるタイプの蛇口は、壁に近い部分にある「クランク」と呼ばれる部品に取り付けられているものが多く、マイナスドライバーを使って開閉します。
台に取り付けられている水栓の止水栓は、給水管が蛇口の下方に伸びているため、その途中に取り付けられています。
マイナスドライバーを差し込める場所がなければ、止水栓が取り付けられていない蛇口の可能性があります。その場合は元栓を閉めて対応しなければなりません。
洗面台
洗面台の場合は、蛇口が台の上に取り付けられているため止水栓はその下方にあります。洗面台の下に伸びる給水管を辿っていくと、下方に止水栓が見つけられます。キャビネット(開き戸)の中に見つかるものもあります。
ハンドルタイプまたはマイナスドライバーで開閉をするタイプのどちらかになりますが、浴室と同じく単水栓やツーハンドル混合水栓タイプの蛇口には止水栓が付属していないため、元栓を閉めてから修理を行います。
洗濯機
洗濯機は、設置場所に専用の蛇口が取り付けられています。この蛇口を閉めることで、水の流れが止められます。
洗濯機については、他の蛇口と違い「いつでも使えるように」と開けっ放しにしている方も多いかもしれませんが、給水用ホースが外れると水漏れを起こしてしまうため、万が一に備えて使わないときは閉めておくと良いでしょう。
給湯器
給湯器には、給水元栓と呼ばれる栓が本体から繋がっている給水管の途中に取り付けられています。トイレやキッチンのように簡単に閉められるものではなく、ガス管や電源プラグが複数接続されているため、複雑な構造・手順になっている設備もみられます。
マニュアルが手元にあり、給湯器や止水栓の構造を理解できている場合は自力でも対応できますが、それ以外はトラブルを避けるために水道業者やガス会社に連絡し、点検や修理を依頼しましょう。
万が一に備えて栓の場所をチェック
今回は、水漏れを起こした場合の手順と元栓・止水栓の違い、取り付けられている場所について紹介しました。給排水設備は一見複雑な構造に見えますが、元栓と止水栓の位置や止め方を把握しておけば、いざというときにスムーズな対応がとれます。
古い設備は自力での対応が難しいものもあります。「どこに栓があるのかわからない」「水漏れがひどすぎて対応が追いつかない」といったケースも含めて、緊急時には水道業者や水道局に連絡をとることをおすすめします。
おおいた水道職人では、水道局指定店として水回りに関するさまざまなトラブルに対応しています。24時間365日受付・ご訪問を行っているので、今すぐ相談したい場合もお気軽にご連絡ください。
監修者
主任
藤本 久幸
《略歴》
弊社指定の水道メンテナンス研修プログラムを修了し、高度な技術と知識を身に着け年間約800件の現場で対応を行う水回りトラブル解決のエキスパートである。
実際に様々なトラブルの対応を行った経験から水回りのトラブルでご家庭で実践可能なことから、トラブルを予防するために行えることをお届けしたいと思っています。
大分のトイレのつまり・水漏れは、水道修理の専門店「おおいた水道職人(大分水道職人)」